ここ最近、イラストの作成方法に関する情報をよく見たりしてます。具体的には、YouTubeの以下のようなチャンネルです。
- さいとうなおき
- hide channel【顔と体の描き方講座】
- 絵葉ましろのちゃんねる
- 焼まゆるのお絵かきちゃんねる
- お絵描きVtuberハラケン【はらけんしのイラスト本舗】
- 竹花ノート
- さんぱち /イラストメイキング
- 吉田誠治
よく見る順でざっと並べてみました。最近はイラストの描き方に関するYouTubeチャンネルが多いので、イラストを描く上でとても参考になります。
そんなイラスト講座でよく言われることがあります。
「資料を見て描け」
その理由としては、人間の記憶は当てにならないから見て描くのが基本であるとか、資料を見ることで細部に説得力を持たせることができるとか言われています。
しかし、その一方でネット上の画像をそのままトレースしてそれが発覚し炎上することがあります。いわゆる「トレパク(トレースをパクる)」問題ですね。
でも、ここでひとつ疑問が湧きます。「資料を見て描けといったのに、そのままトレースするとダメとか、一体どこまでならOKなんだ?」と。
今回は「資料を見て描く」と「トレパク」の間のゾーンでどのように資料を利用できるのかについて私の考えを書いてみます。
どこまで資料を活用するか
まず「資料を見て描く」については議論の余地がないほど重要なことなので、ゾーンの一方端である「資料を見て描く」は揺らぎようがありません。となると問題はゾーンの他端である「トレパク」になります。そしてこの議論は結局、「トレパクと認定されないレベルまでどうやって資料を活用していくか」に集約されると思います。
- セーフ資料を全く使わない
- 資料を見て描く
↑
この間が難しい
↓ - アウト資料をトレースして描く(トレパク)
ただ、「資料を見て描く」と「トレパク」の間のゾーンって、実はかなりデリケートな問題です。なぜ上記のプロ絵師のYouTubeチャンネルでこのゾーンについての議論がないのかというと、極めてグレーであるが故に、プロとして絵で生計を立てているプロ絵師は軽率なことは言えないのが原因でしょう。そのために、「資料を描け」といいつつ「どんな資料をどのようにどこまで使っていいのか」の具体的なアドバイスが語られないのだと思います。
例えば、とある絵師は画像収集サービス「Pinterest」が参考になると言っていますが、Pinterest上に収集された画像をそのまま利用するとまずアウトになるでしょう。そうなるとアマチュア絵師としては、「どうやって」その画像を参考にするのか?と疑問に思うところです。多くの絵描き達は、アウトにならないように気を遣いながら資料を利用しているのが実情ではないでしょうか。
具体例(ほとんどセーフ)
ここから私の資料の利用に対する具体的な考え方を紹介します。
まず、絶対にアウトにならない資料の利用というのがあります。私は以下のようなケースはほぼセーフと判断してます。
「1.自分で撮影した自分自身の画像」は、ポージングや衣服のシワに悩んだときには自撮りをして自分で確かめるときによく利用します。このときに撮影した自分自身の写真の利用は当然ながら完全セーフです。
「2.自分で撮影した風景写真」もセーフです。確か「他人の家を撮影して作成した写真集」は合法であるという判例があったはずなので、それでいけば自分で撮影した建造物などの写真もセーフでしょう。自然物なんかはもちろん完全にセーフです。
最後に「3.画像の直接利用やトレースOKなもの」も当然OKです。フリー素材などのトレースですね。ただし規約をよく確認した上で利用する必要があります。
上記の例はいずれも基本的にセーフですが、写真の中に自社IPにうるさい企業のキャラクターがうつっていて、それをイラストにそのまま描いてしまうと企業側から文句を言われる可能性があります。資料の活用で難しいのは、こういう個別の判断が常につきまとうところですね。
具体例(白とグレーの中間ぐらい)
次に、最も重要な「白とグレーの中間ぐらい」の資料の活用について考えてみます。私は以下のようなケースはほぼOKと判断してます。
「1.他人のイラスト、写真または動画の一部を模写により利用」は、そのままの意味です。ただし、「一部」と「模写」のどちらかが欠けるとアウトだと考えてます。
セーフの例としては、以下のようなケースです。
- 他人のイラストの目の描き方をそのまま模写で真似する
- 他人のイラストのポーズを模写で真似する
- 他人の動画(アイドルのPVやエロ動画など)の静止画のポーズや服を模写で真似する
などです。
というか、Pinterestやネット画像を利用する場合は全てこのやり方になるはずで、これをプロ絵師などの指南者がハッキリOKと言えないのは、余計に初級者の混乱を招くような気がします。まぁそうは言っても、プロ絵師などは危ないアドバイスをしたくないんでしょうけど。
なぜ「模写」なのかというと、万一トレパク警察がトレース確認したときでも、完全一致にならないようにするためです。模写ではなくトレースしてしまうと、癖になって常にトレースしてしまうようになるのも問題です。有名になった後でもトレースを続けてしまうと、いつかはトレパク警察につかまって炎上してしまいます。
「一部」が重要なのは言うまでもないですが、全部を模写して利用してしまうと、デザインそのものをパクったという指摘に反論できなくなるからです。ただし、模写・一部なら必ずしもセーフかというとそうでもなくて、利用した部分が元の絵や写真において特徴的な部分であると、デザインの盗用と言われ色々と信用を失う可能性があります。
「2.写真、動画、色見本の配色を全部または一部利用する」は、基本的にセーフです。ただし、この場合も元の絵において配色が特徴的であると、デザインの盗用と言われる可能性があります。
まとめ
今回の記事を書こうと思ったのは、イラスト界隈で「資料を見て描け」と言われつつ、じゃあどうやって権利侵害やトレパクを避けるのか、具体的な方法があまりにも語られてないことに疑問を感じたことがきっかけです。
上記の他に一番確実な方法で効果がありそうな資料の利用の仕方は、練習時に好きなように資料を使って描き、それを発表せず、次に資料を一切見ずに描くってことじゃないでしょうか。これなら最終的に出来上がったものを発表できそうです。
ではまた!