
考察をまとめてみました
2018年11月に任天堂は「ネットワークサービスにおける任天堂の著作物の利用に関するガイドライン」を発表しました。

これにより、それまでゲームの動画や静止画の利用についてややグレーだった部分が、かなり明確になったように思います。
また、上記ガイドラインとは別に、「任天堂ウェブサイトポリシー」というのがあります。

これは、任天堂が運営するウェブサイトに掲載されているコンテンツについての利用について言及したものです。
このガイドラインとウェブサイトポリシーは、特に任天堂のゲームの動画を作っているYouTuberや、任天堂のゲームの記事をたくさん書いているブロガーにとってはかなり重要です。なぜなら自分の動画や記事中に任天堂の動画や静止画を使えるのかどうかで、作り方が変わってくるからです。
今回は、これらのガイドライン&ウェブサイトポリシーにもとづいて、任天堂の著作物についてYouTubeやブログでできることを考察してみました。
ガイドラインから分かること
まずは、ガイドラインの冒頭部分を見てみます。
任天堂は、個人であるお客様が、任天堂が著作権を有するゲームからキャプチャーした映像およびスクリーンショット(以下「任天堂のゲーム著作物」といいます)を利用した動画や静止画等を、適切な動画や静止画の共有サイトに投稿(実況を含む)することおよび別途指定するシステムにより収益化することに対して、著作権侵害を主張いたしません。
ポイントとなる部分は3つのマーカー部分です。
青マーカー部分
最初の青マーカーの部分は、このガイドラインが「ゲームからキャプチャーした映像およびスクリーンショット」に関するものであることを明言しています。
つまり、「ゲーム画面をカメラ等で撮影したもの」や「紙の本を撮影したもの」は、良いとか悪いとかいう以前に、このガイドラインの対象外ということです。対象はあくまで「ゲームからキャプチャーした映像およびスクリーンショット」です。
赤マーカー部分
赤マーカーの部分は、ゲームからキャプチャーした映像およびスクリーンショット(任天堂のゲーム著作物)を使って、適切な共有サイトに投稿するのは別に構わないよ!というものです。
この「適切な共有サイト」については、以下のようにQ&Aに例示されています。
多くの方が一般的に利用されている動画や静止画の共有サイト、例えば YouTube や Twitter、ニコニコ動画等を想定しています。
共有サイトは、代表的なところでは上記3つですが、「多くの人が一般利用している共有サイト」であれば、別に投稿していいということのようです。
また、このガイドラインが、「上記のような共有サイトに投稿すること」に関するものであるため、動画や静止画をブログに使用(投稿)することは、このガイドラインの対象外ということです。つまり、ブログに使用すると任天堂は著作権侵害を主張するかもしれないよということです。
黄色マーカー部分
赤マーカー部分は、「投稿するだけならいいよ」ということでしたが、黄色マーカー部分は「別途指定するシステムによれば収益化することもできるよ」と言っています。
この「別途指定するシステム」については、以下のようにQ&Aに例示されています。
ここでも、「ブログ」が挙げられていないので、ゲームの動画や静止画をブログにアップしてAdsense等で収益化することを任天堂は認めてなさそうです。
ブログでの利用はほとんど野放しになってしまうので、任天堂側としても認められないといったところでしょうか。上記のYouTubeなどのシステムを利用して収益化した場合、会社側はその実態を把握しやすいですからね。
ゲームの動画や静止画にブログでリンクを貼ること
上記のように、ブログ側で任天堂のゲームの動画や静止画で利用することはガイドラインに載っていないので明確にNGなるかわかりませんが、このガイドラインで利用範囲を明確にしたことからも、それ以外の利用(ブログでの使用など)はアウトと見るのが自然でしょう。
ではブログ側で任天堂のゲームの動画や静止画を全く利用できないのかというと、実は1つだけ方法があります。それが動画や静止画へのリンクです。
たとえば、「違法動画等にリンクを貼ると著作権侵害になる?ならない? | AZX Super Highway(AZXブログ)」には、以下のような記載があります。
リンクを貼ったとしてもユーザーに対してデータを送信するのはあくまでリンク元であることから、一般的にリンクを貼る行為自体は著作権の侵害にならないと考えられています。
裁判所は、以下のように判断して、このような埋め込み型の場合も著作権侵害とはならないことを明確にしました。
というわけで、ブログでゲームの紹介をするときには、上記ガイドラインにのっとった適正なYouTube動画やTwitterの動画へのリンクなら埋め込んでも何ら問題ない、ということのようです。これは積極的に使っていきたいですね。
ウェブサイトポリシーから分かること
次に、ウェブサイトポリシーの「著作権について」を見てみます。
当社ウェブサイトに掲載されている文章、写真、映像、音楽、デザインなど、すべてのコンテンツの著作権は、当社もしくは当社にその利用を認めた権利者に帰属します。これらの著作権は、各国の著作権法、各種条約、その他の法律で保護されております。各コンテンツは、明示された制限に従って、法律により認められた範囲内で、ダウンロードしたり、プリントアウトして使用することを除き、コピー、配信、掲示、送信、削除、変更、翻案等を含む他の利用は固くお断りします。
ポイントとなる部分は3つのマーカー部分です。
青マーカー部分
青マーカー部分には、このウェブサイトポリシーの「著作権について」は、任天堂のウェブサイトのコンテンツに関するものであることが明示されています。
赤マーカー部分
赤マーカー部分は、OK事項について記述したものです。「ダウンロードしたり、プリントアウトして使用すること」はOKとのことですが、ユーザー側からすると出来ることがかなり少ない印象です。
また、「明示された制限に従って…ダウンロードしたり…」の部分がちょっと不明です。「ある制限にのっとればダウンロード以外のことをしてもよい」という意味なのでしょうか。
「明示された制限」とは、「引用」のことを指しているのかもしれませんね。適正な引用ならば違法性はないので、その場合は任天堂のコンテンツを使うことも可能、という意味なのかもしれません。(※あき山の意見)
ちなみに、適正な引用とは以下のような感じです。
『引用』と『転載・転用・盗用』は違うもの
『引用』なら権利者の許可無く、営利・非営利に関係なく利用できる。
『引用』には7つの要件があり、すべてに合致していないと引用にならない。引用と無断転載の違いは『引用の要件』に合致しているかどうか。
https://kato19.blogspot.com/2015/05/cyosakukenanime.html
上記のサイトによれば、別の場所から画像等を持ってくる場合には、それが引用の7要件を満たすようにしなければならない、ということです。逆に言えば、引用の7要件を満たせば、それを自分の動画やブログに利用することもできるということです。なので、私個人の解釈では、上記赤マーカー部分は「適正な引用であればOK」と読めます。
黄色マーカー部分
黄色マーカー部分は、NG事項について記述したものです。「コピー、配信、掲示、送信、削除、変更、翻案等を含む他の利用」はNGとのことです。
つまり、任天堂のウェブサイトのコンテンツを利用した以下のような行為はアウトとのことです。
YouTuberやブロガーがよくやる、任天堂のウェブサイトの画像を用いてアイキャッチ画像を作ったり、持ってきた画像を説明に入れたりする行為はアウト、ってことです。
引用の要件を満たすのは大変なので、任天堂のウェブサイトの動画や静止画は実質的に使えないに等しいといったところですが、YouTubeの場合なら、ウェブサイトから引用しなくても自分のゲームプレイ動画から素材を集めればいいだけの話です。YouTuberには優しく、ブロガーには厳しいですね…。
まとめ
というわけで、ガイドライン&ウェブサイトポリシーにもとづいて、任天堂の著作物についてYouTubeやブログでできることを考察してみました。
まとめると以下です。
(※)投稿できる共有サイトは、多くの人が一般的に利用している動画や静止画の共有サイトに限る。収益化OKなシステムは例示を参照。
また、カプコンのガイドラインについても考察しました。こちらもどうぞ。
ではまた!